IISログ記録のベストプラクティス5選

IISログとは

IISログとは、Microsoft IIS Webサーバーで発生するイベントを記録するログです。IISログには、Webサイト、訪問するユーザー、IPアドレス、エラーなどの情報が記録されます。そのため、パフォーマンスや運用に関わる問題を解決するための重要な情報源になります。この記事では、IISログを最大限に活用するために知っておくべき、IISログ記録のベストプラクティスを紹介します。

IISログ記録とは

IISログ記録とは、IISサーバーで発生するイベントのログ情報を生成し、監視する仕組みです。IISログ記録の機能は、特定のURLグループに基づいて記録対象を絞り込むことが可能です。IISログ記録を有効にし、ログファイルを確認することで、IISサーバーの性能やアクセスに関する傾向や潜在的な問題を把握できます。

IISログが重要である理由

ISログ記録は、Webサーバーのパフォーマンスを監視し、セキュリティを確保するために重要な役割を果たします。ログ記録を実施することで、ユーザーのWebサイトへのアクセス方法やページ上での行動、ユーザーが直面するパフォーマンス上の問題を把握できます。また、IISサーバーログの定期バックアップにより、ログのフォレンジック分析が円滑になります。そこで、Webサイト分析やログアーカイブを効果的に実施するためには、ManageEngineのEventLog Analyzerのような包括的なログ管理ツールが最適です。ログ管理ツールを使えば、IISログの収集、解析、表示、アーカイブなどを効率的に実施できます。

IISログ記録を有効にする方法

IISログ記録の有効化は、以下の手順で行います。

  • IISマネージャーを開きます。
  • [接続]ペインで、IISログ記録を有効にする特定のサーバーまたはサイトを選択します。
  • [機能ビュー]で、[ログ記録]をダブルクリックします。

推奨事項:ログ記録をオフにしないでください。なぜならログは、Webサーバーでのトラブルシューティングやフォレンジック分析に必要だからです。また、高度なログ記録の機能を使用する際は注意してください。メモリリークにつながる可能性があります。こうしたリスクを管理し、効率的なログ記録を行うために、EventLog AnalyzerなどのMicrosoft IISログ解析ツールが有用です。ログ解析ツールによって、IISログの自動的な収集、解析、分析、アーカイブが可能になります。

IISログ記録のベストプラクティス5選

  1. アプリケーションプールの構成:原則として、アプリケーションごとに異なるアプリケーションプールを作成します。IISサーバーでホストされているアプリケーションやWebサイトが多数ある場合は、グループ化し、各グループにアプリケーションプールを割り当てることを検討してください。グループ化により、ログ管理が簡素化できます。また、IISのログ記録用には十分なメモリを割り当て、仮想メモリには上限を設定しないでください。さらに、リサイクル構成をデフォルトのままにせず、以下のように変更することを推奨します。
    • アイドル状態のタイムアウト(分):「0」に設定するか、[アイドル タイムアウトの操作]を[Suspend](中断)に設定します。
    • 定期的な間隔:「0」に設定します。
    • 特定の時間:使用頻度が最も少ない時間に設定します。
  2. IISサーバーのロードバランシング:最適なパフォーマンスを実現するために、サーバーに接続しているクライアントの数を監視し、負荷が均等になるように処理を行います。もしクライアントの接続数が増加し続ける場合は、複数のIISサーバー間でのロードバランシングを検討してください。また、IISサーバーの負荷を適切に管理し、データのアップロードやダウンロードのための十分なリソースと帯域幅を確保してください。
  3. 機密データのログ記録の回避:データ保護規制(GDPR、HIPAA、PCI DSSなど)に対する違反となるため、PII(個人を識別できる情報)などの機密データをログに記録しないでください。また、不必要な情報をログに記録すると、ログの量が増加し、根本原因分析の作業が煩雑になります。さらに、ログが膨大な量になると、ログの処理や管理に要するコストと時間も大幅に増加します。
  4. IISログの統合と一元管理:IISログ記録機能は、サーバーのHTTPリクエストを通じて膨大な情報を取得しますが、ログを分散的に管理すると、監視や分析が煩雑になります。アプリケーションの性能やセキュリティに関する問題を効果的に分析・調査するには、収集したIISログデータの集約と一元管理が必須です。一元管理・可視化するダッシュボードによって、IISログの監視・管理が大幅に簡素化され、リアルタイムのログ分析も実現可能になります。
  5. ログの保持ポリシー:IT規制法令やデータ保護ポリシーに準拠するために、組織は重要なログを一定期間にわたり保持する必要があります。一般的なコンプライアンス要件では、ログを90日間保持することが求められます。履歴ログデータを組織の要件やポリシーに沿ってアーカイブすることにより、トラフィック傾向を特定し急増を予測できます。さらに、アーカイブは詳細なログフォレンジック分析の実施にも役立ち、IISサーバーアプリケーションのパフォーマンス最適化にもつながります。