ファイアウォールのログ管理のベストプラクティス

ファイアウォールは、定義済みのルールやポリシーに基づいて、ネットワークを出入りするトラフィックを監視し、フィルタリングするために使用されます。そのため、ファイアウォールのログ管理の有効化は、ネットワークトラフィックを可視化する上で非常に重要です。ファイアウォールのログ管理とは、イベントの収集、分析、検証、監査を行い、ネットワークセキュリティに対する脅威を特定するための仕組みです。ファイアウォールのログを分析することで、セキュリティ管理者は侵入段階で攻撃を検知できます。

ファイアウォールのログ管理によってネットワークの安全性を確保する方法:

悪意のある攻撃者は、侵入したネットワークを踏み台として利用し、他のネットワークに攻撃を仕掛ける可能性があります。ファイアウォールは、外部へのトラフィックだけでなく、ネットワーク内から発生する攻撃も監視します。同一のIPアドレスが、複数の攻撃に利用されている場合もあります。ファイアウォールのログ管理を適切な手法で実施すれば、本格的な攻撃に発展する前にセキュリティインシデントを特定し、アラートを生成できます。たとえば、組織のネットワークへのログイン試行が繰り返し失敗している場合は、攻撃の兆候として即時に検知できます。

以下では、ファイアウォールのログ管理を効果的に実施するためのベストプラクティスをご紹介します。

ログ記録の対象を把握する

ファイアウォールのログ管理を実施する主な目的は、重要なセキュリティイベントを把握し、大規模な攻撃につながる可能性があるかを見極めることです。パスワードの誤入力、保護されていない接続、ブラックリストに登録されているソースや疑わしいソースからのリクエストなどは、サイバー攻撃を見極める際に役立ちます。他にも、潜在的な脅威や攻撃の兆候となる、すべてのイベントをログに記録する必要があります。正確なイベントの記録は、ログ管理を効果的に実施するための必須要素です。通常、以下のようなイベントがログに記録されます。

  • ファイアウォールルールによって許可または拒否された接続
  • 不正侵入検知のアクティビティ
  • ユーザーアクティビティ
  • カットスループロキシによって処理されたアクティビティ
  • プロトコルの使用状況

ファイアウォールログを安全に保管する

ファイアウォールのログ管理を有効にすると、ログはローカル環境に保管されます。ファイアウォールログを最大限に活用するには、中央サーバーにログを保管して分析する必要があります。ファイアウォールから、より安全な場所にログを移動させることで、悪意のある攻撃者による改ざんを防ぎ、ログ管理の効率性と安全性を最大限に高めることができます。

ファイアウォールログを一元管理する

すべてのログを収集し、安全な場所に移動させた後は、解析やインデックス付けなどのログデータの処理を実施し、異なるソースから収集されたログの構造を統一する必要があります。ログデータの処理より、収集されたログの監視と分析、ネットワークアクティビティに関するインサイトの取得、脅威からのネットワークの保護を実現できます。

異なるファイアウォールイベントを相関させ、理解を深める

個々のネットワークアクティビティは無害に見えても、全体として見ると、ネットワークセキュリティに対する大きな脅威を示唆している場合があります。相関分析とは、ネットワークの異なるデバイスで別々に発生しているイベント間の関連性を理解する手法です。異なるソースのからすべてのログを中央サーバーに集約させ、インデックス化・解析すれば、ログの相関分析が容易になります。

ファイアウォールのルール変更を追跡する

ファイアウォールは、どのデバイスがネットワークにアクセスして、他のデバイスと通信できるかを定義する一連のルールです。接続リクエストを許可または拒否するプロトコルが変更された場合、その変更をログに記録する必要があります。この記録により、攻撃者や悪意のある内部関係者によって変更が行われた場合に、追跡が可能になります。理想的な体制としては、ファイアウォールのルールが変更された場合に、システム管理者に通知やアラートが届くことが望ましいです。

ログ管理ツールを実装する

収集されたログに対して、手動で解析などのログ管理作業を実施すれば、非常に時間がかかり、ヒューマンエラーが生じやすくなります。効率的かつ効果的な方法は、ログ管理ツールによるログ管理プロセスの自動化です。ログ管理ツールが疑わしいアクティビティを検知した場合は、アラートシステムを通じてセキュリティ管理者に即時に通知が届きます。収集したログには、トラフィック、発生元、宛先、ポートアドレスなどの重要な情報を含んでいるため、脅威を事前に特定し、攻撃を調査するのに役立ちます。EventLog Analyzerは、包括的なログ管理ソリューションであり、ファイアウォールログの収集、処理、解析、相関分析を中央サーバーで実施できます。