変化の速い現代の業務環境において、PCやアプリケーションは単なる道具ではなく、従業員の生産性を支える基盤そのものです。エンドポイント(端末)の性能や安定性は、従業員がどのように働き、連携し、成果を出せるかに直結します。IT部門に求められているのは、従来型の稼働監視にとどまらない「DEXの可視化」——実際の利用体験に関するデータを計測、分析し、改善アクションにつなげる力です。
デジタル従業員エクスペリエンス(DEX)とは?
デジタル従業員エクスペリエンス(DEX:Digital Employee Experience)とは、従業員が日々のデジタル環境をどのように体験しているかを継続的に計測し、改善していく取り組みを指します。エンドポイントから収集したテレメトリ(動作情報)、分析、修復の3つを組み合わせることで、デバイス・アプリケーション・各種サービスがスムーズに動作している状態を維持します。システムの健全性と実際の利用体験を関連付けて捉えることで、IT部門は単なる稼働率の改善にとどまらず、従業員にとって快適な業務環境を提供できるようになります。

デジタル従業員エクスペリエンス(DEX)が重要視される背景
ハイブリッドワークやデジタル前提の働き方が広がるなか、従業員の生産性は、デバイス・アプリケーション・ネットワークが滞りなく連携するかどうかに大きく左右されます。しかし多くのIT部門が把握できているのは、稼働状況・問い合わせ件数・システムの健全性といった一面にとどまり、それらが従業員にとって実際にどう感じられているかまでは見えていないのが実情です。
DEXは、この見えていない部分を可視化し、事後対応中心のIT運用から脱却するための考え方です。
- 表面化していない不具合の発見:ログオンの遅延や繰り返し発生するアプリケーションのクラッシュなど、問い合わせとして上がってこない性能劣化を早期に検知します。
- 従業員満足度・定着率の向上:快適なデジタル環境は、従業員のモチベーションやエンゲージメント、ひいては組織全体の生産性に直結します。
- 問い合わせ件数の削減:頻出する問題を自動で検知・解消し、業務の中断を最小限に抑えることで、IT部門のリソース消費を低減し、コア業務に集中できるようにします。
- AI活用に向けたデータ基盤の整備:エンドポイントの状態を可視化し、一貫した形式でデータとして蓄積することが、AI活用の出発点になります。断片的なログではなく、正しく構造化されたテレメトリが継続的に蓄積されていてはじめて、AIによる分析・予測・自動化はその効果を十分に発揮できます。DEXへの取り組みは、日々のIT運用を改善すると同時に、その先のAI活用を支えるデータ基盤を整えることでもあります。
DEXは統合エンドポイント管理(UEM)をどう強化するのか
従来の統合エンドポイント管理(UEM)は、デバイスを管理し、パッチ管理やセキュリティ対策を確実に実施することを主眼としてきました。DEXはそこに「体験のインテリジェンス」というもう一段の視点を加え、UEMをより能動的で、成果に直結する基盤へと進化させます。
- 状況を踏まえた監視:CPU・メモリー・ディスク・クラッシュ・ログオン時間などのエンドポイントのテレメトリを、ユーザー単位のリアルタイムな状況と関連付けて把握します。
- 根本原因分析(RCA):アラートを通知するだけでなく、問題が「なぜ」起きているのかを診断します。IT部門は優先順位を判断しやすくなり、解決までの時間を短縮できます。
- 自動修復ワークフロー:問題を検知し、ユーザーに影響が及ぶ前にリアルタイムで解消するワークフローによって、UEMの制御範囲を拡張します。
- ベンチマークと最適化:デバイス・拠点・部門ごとにエクスペリエンススコアを追跡し、IT運用を継続的に改善します。
DEXをUEMに統合することで、エンドポイントのコンプライアンスとセキュリティを維持しながら、すべてのデバイスが快適に動作する状態を保つ——という一元的なアプローチが実現します。
エンドポイント管理から「体験の管理」へ
Endpoint Centralは、デバイス管理とセキュリティのための基盤から、監視・分析・修復までを統合する基盤へと進化しました*。リアルタイムのテレメトリ、任意に設定できるしきい値、根本原因分析、自動化ワークフローを備えることで、IT部門は事後対応型のサポートから、先回りして体験を整えるプロアクティブな運用へと移行できます。その先にあるのは、安定していて、安全で、生産性に最適化された業務環境です。
*DEX機能は、「Endpoint Central Cloud」のオプション(有償)でご利用いただけます。
Endpoint CentralのDEX機能
エクスペリエンス監視
CPU、メモリー、GPU、ディスク、バッテリー状態、起動時間、ログオン時間、クラッシュなど、エンドポイントのテレメトリを幅広く収集・分析します。これらの指標が従業員体験を分析する土台となり、IT部門はデバイスが実際にどのように動作しているかをリアルタイムで把握できます。
根本原因分析(RCA)
アラートの通知だけではなく、デバイス、機種、アプリケーションをまたいでテレメトリを関連付け、問題が発生している「理由」を明らかにします。関連する事象をまとめて優先度を判断できるため、対処すべき問題から順に、より早く解決できます。
自動修復ワークフロー
問い合わせになる前に問題を解消します。単体の修復スクリプトを配布して素早く対処することも、ノーコードのトラブルシューティングワークフローを作成し、数千台規模のエンドポイントに対して検知から修復までを自動で実行することも可能です。
ベンチマークとエクスペリエンススコア
組織全体のデジタル体験について基準値を設定できます。各デバイスの状態を基準値と比較することで、性能が不足しているエンドポイントを特定し、端末の更新やリプレース時期、アプリケーションの展開可否といった判断をデータにもとづいて行えます。
拡張可能なアクションライブラリ
あらかじめ用意されたコレクター、修復スクリプト、ワークフロー、ダッシュボードを活用できるほか、独自のものを追加して拡張することも可能です。自社の環境に合わせてアクションを調整し、運用を複雑にすることなく自動化の範囲を広げられます。
活用イメージ
ある部門で、業務に欠かせないアプリケーションの動作が遅くなっているケースを考えてみます。従来型の監視では、CPU使用率の上昇は検知できても、その原因までは分かりません。Endpoint CentralのDEX機能であれば、テレメトリから使用率の上昇と特定の機種・アプリケーションのバージョンとの関係を突き止め、根本原因分析によって原因を特定し、自動修復ワークフローが対象端末全体に一斉に対処します。従業員が遅さに気づき、問い合わせを起票する前に解決できるのです。
DEXにEndpoint Centralが選ばれる理由
- 管理・セキュリティ・体験を1つの基盤に統合
- リアルタイムのテレメトリと分析による、プロアクティブなIT運用
- 根本原因分析による、迅速な原因究明
- 修復ワークフローとアクションライブラリによる、規模に応じた自動化
- ベンチマークとエクスペリエンススコアにもとづく、精度の高い計画立案
エンドポイントから得られる膨大なデータを、実際のアクションにつながる知見へと変換し、先回りしたITサポートと、すべての従業員にとって快適なデジタル環境を実現します。
よくあるご質問
Q1. DEXはエンドポイント管理をどのように改善しますか?
Endpoint Centralはすでにエンドポイントの管理・パッチ適用・セキュリティ対策を担っていますが、DEXはそこに従業員視点の知見を加えます*。IT部門は問題をより早く検知し、根本原因を理解したうえで、先回りして解消できるようになります。
Q2. DEXによってIT部門にはどのようなメリットがありますか?
システムの健全性と実際の利用体験を関連付け、業務が止まる前に問題を予測することで、問い合わせ件数の削減、トラブルシューティングの迅速化、生産性の向上、そして先回りしたサポートの実現につながります。
Q3. DEXはEndpoint Centralの自動化をどのように支えますか?
DEXは、修復ワークフローとあらかじめ用意されたスクリプトを用いて、エンドポイント管理の枠を超えて自動化の範囲を広げます。ログオンの遅延、アプリケーションのクラッシュ、CPU使用率の高騰といった性能上の問題を継続的に監視し、多くの場合は従業員が気づく前に、リアルタイムで修復を実行できます。ノーコードでワークフローを作成できるため、数千台規模のデバイスに対して対応方法を標準化し、問い合わせ件数と手作業の負担を減らせます。
Q4. DEXは従業員にどのような影響がありますか?
業務の中断が減り、対応までの時間が短くなり、日々のデジタル業務がより快適になります。結果として、満足度と生産性の向上につながります。
Q5. Endpoint Centralは従来のエンドポイント管理製品と何が違いますか?
Endpoint Centralは基本的な管理機能にとどまらず、デバイスとアプリケーションの状態をリアルタイムに把握できます。従来の製品が事後対応型のアプローチにとどまりがちなのに対し、Endpoint Centralは先回りした情報活用によってパフォーマンスの最適化を支援します。
Q6. Endpoint Centralはユーザーの生産性にどう寄与しますか?
エンドポイントのパフォーマンスを継続的に監視・最適化することで、ダウンタイムと業務の中断を抑え、利用者の満足度を高めます。体験に関する指標を重視するアプローチが、従業員の生産性向上に直接つながります。
*DEX機能は、「Endpoint Central Cloud」のオプション(有償)でご利用いただけます。