特権アクセスガバナンスとは、特権アクセス管理の重要な機能であり、ユーザーの権限に基づいて機密性の高いリソースへのユーザーアクセスを管理する手法・仕組みです
ビジネス環境における特権アクセスガバナンスの重要性
安全なビジネス環境を構築する上で最初に必要になるのは、特権IDの保護です。組織運営や業務プロセスの複雑化に伴い、特権IDを保護するだけでなく、IDに関連したユーザーアクティビティを追跡する戦略が必要になってきます。
特権アクセスガバナンスの目的は、認可されたユーザーのみが企業のリソースにアクセスできるように制御することです。特権付与の対象が内部関係者であっても外部ベンダーであっても、基本的な原則は同じです。リソースへのアクセスが許可されるかどうかは、ユーザーの役割のみに基づいて判断されます。また、特権の昇格には、管理者による承認が必要です。このプロセスをどのように効率化できるでしょうか?次のような例を考えてみましょう。
ユーザーが重要な操作(リモート接続の開始やパスワードのリセットなど)を実行する場合、リソースのパスワードへのアクセスが必要になります。ただし、パスワードをプレーンテキストでユーザーに開示する場合は、作業完了後に、アクセス権が確実に取り消されているかをIT管理者が追跡し、手動でパスワードをリセットしなければいけません。この課題への対応策として、アクセスガバナンス戦略を導入することで、機密リソースへのアクセスを(付与・取り消しを含め)徹底的に管理し、重要な業務に集中できるようになります。
特権アクセスガバナンスの重要な要素
次に、特権アクセスガバナンスについて詳しく解説します。組織のインフラにおけるアクセスガバナンスを最適化する上で欠かせない要素は、以下のとおりです。
01. ユーザー役割の定義
従業員が新たに組織に加わる際に最初に行うべき作業は、従業員に役割を割り当てることで、職務を明確にし、それに基づいてアクセス権限を区分けすることです。この作業により、ユーザーは単独で実行できる操作の範囲を自分自身で把握できるため、アクセス管理が大幅に簡素化されます。また、同等の特権を持つユーザーをグループ化する際にも、ユーザーの役割は役立ちます。グループ化により、必要に応じてアクセス権を一括で付与・更新することが可能になります。
02. 権限の割り当て
ユーザーの役割は、各役割に適切な権限を割り当てることで初めて機能します。この権限により、ユーザーがアクセスできるドメインや、認証情報に対する操作範囲(変更や閲覧など)が定義されます。アクセスを申請しているユーザーが管理者か管理者以外かによって、与えられる権限の内容は異なります。ベストプラクティスとして、最小特権の原則に基づいて、企業のリソースに対するアクセスを制御・管理することが推奨されています。機密性の高いリソースへのきめ細かいアクセス制御により、ユーザーは必要最小限の操作のみを実行でき、すべてのドメインで ゼロスタンディング特権を維持できます。
03. 権限の管理
重要なIT資産にアクセスする際は、機密性の高い企業データにアクセスすることになります。このように、アクセス権の昇格が必要な場合、必要最小限のアクセス付与だけでなく、厳格な申請・承認ワークフローが必要になります。 PAMツールを導入することで、ユーザーは、システムのセキュリティや安定性に影響を与える操作を指定された期間内に限り実行できるようになります。この制御により、過剰な特権の蓄積や特権悪用を防止できます。
04. コンプライアンス規制の遵守
アクセス制御を強化する戦略を実施するだけでなく、ユーザーアクティビティの透明性を維持し、コンプライアンス要件を満たす必要があります。特権アクセスガバナンスを実施することで、業界および政府の多様な規制(HIPAA、GDPR、SOXなど)に準拠し、ITネットワーク全体のセキュリティを強化できます。
特権アクセスガバナンスを導入するメリット
異なるレベルのアクセス権限をきめ細かく制御する特権アクセスガバナンス戦略を採用することで、IT管理者は以下のことを実現できます。
- 暗号化された保管システムに格納することで、特権IDを一元管理できる
- 重要な認証情報を開示する手間なくリソースへのアクセスを可能にし、IT運用の持続性を確保できる
- 重要な認証情報へのアクセスを追跡し、狙われる可能性のある攻撃対象領域を削減することで、ユーザーの行動を可視化できる
- 組織に潜む脅威を特定・軽減することで、リスク管理能力を強化できる
- パスワードに最小特権の原則を適用し、誰がどの対象にアクセスできるかを監視できる
- 多くの労力と時間を要する作業を自動化することで、システム管理部門の生産性を高められる
ManageEngine PAM360による効果的な特権アクセスガバナンス戦略の構築
特権IDの管理は、特に持続的な成長を遂げている企業にとって容易ではありません。ユーザーアクティビティを十分に可視化できていない組織が多く、不注意によって生じる脆弱性の追跡がより一層困難になっています。しかし、このような脆弱性を放置していると、たった1つの認証情報の侵害により、攻撃者が組織内部に侵入し、セキュリティを脅かす可能性があります。
ManageEngine PAM360の特権アクセスガバナンス機能により、適切なユーザーに常に適切な権限を割り当てる体制を構築できます。権限が付与されたIT管理者やユーザーは、重要なITリソース(パスワード、デジタル署名、証明書、ライセンスキー、サービスアカウントなど)に対して権限に応じた操作を実行できます。これにより、特権資産の一元管理と、総合的なアクセス管理戦略の実現が可能になります。