SAP HANA MDC監視

SAP HANA MDC(マルチテナント・データベース・コンテナ)では、1つのHANAシステム上で複数の独立したテナントデータベースをホストできます。それぞれのテナントはユーザー、ロール、データセットを保有します。このアーキテクチャにより、データベース管理の簡素化、リソース利用の効率化、スケーラブルなアプリケーション展開が可能になります。

SAP HANA MDCの中核にあるのがシステムデータベース(SystemDB)であり、全システム環境を統括しています。SystemDBは、構成管理やライセンス管理、監視、テナント運用などの重要な機能を担います。アプリケーション固有のデータを保管するテナントDBとは異なり、SystemDBはシステムレベルの制御とメタデータ管理を行います。SystemDBの監視は、高可用性の確保、サービスの健全性の維持、全テナントに及ぶライフサイクルイベントの調整において不可欠です。

Applications ManagerのSAP HANA MDC監視では、SystemDBとテナントデータベースの両方を詳細に可視化します。これにより、リソース使用状況、サービス性能、バックアップ履歴、トランザクション負荷、レプリケーション状況を確認可能です。即時のアラート、詳細な診断、レポート機能を通じて、ボトルネックを検出してダウンタイムを回避し、マルチテナントのSAP HANA運用の安定性を確保できます。

Applications ManagerのSAP HANA MDC監視を使用すると、以下のことが可能になります。

メモリとCPUの使用状況の監視

HANAシステム全体にわたり、メモリ使用率、CPU使用状況、使用中のCPU数などの主要な指標を監視することで、リソース消費を常に把握できます。物理メモリのリソース上限値と使用済みの割合、スワップメモリ割当ての確認により、システムリソースの消費状況を把握可能です。これらを通じて、潜在的なボトルネックを特定し、キャパシティプランニングやシステムチューニングに役立てることができます。

接続のアクティビティとスキーマの利用状況の監視

SAP HANAシステム全体のアクティブ・非アクティブな接続数を確認することで、データベースの活動状況を把握できます。これにより、使用パターンやアクセスのピーク時間、異常なトラフィックの急増を特定可能です。さらに、スキーマレベルの指標として、カラムテーブルとローテーブルの数やサイズを監視することで、スキーマ成長を把握してリソース割当ての最適化に役立てられます。

SAP HANA MDCのメモリ使用量とキャッシュ性能の分析

メモリの基本的な情報だけでなく、HANA内でメモリがどのように割当てられて使用されているかを確認することが重要です。SAP HANA MDC監視では、カラムテーブルやローテーブル、コード、スタックのメモリ使用量や、ホストごとの合計メモリ使用量を監視できます。各ホストが定められたしきい値以下であるように、メモリ割当ての上限値も管理しましょう。

さらに、キャッシュ性能を評価するため、キャッシュサイズ、使用状況、ヒット数、ミスの割合などを分析できます。これにより、キャッシュを最適化してシステムの性能効率性を向上させることが可能です。

ディスク使用量などのストレージの状況の監視

すべての設定されたディスク領域に関してストレージ使用状況を監視します。合計ディスク容量、使用中のディスク容量、ディスクの空き容量の割合、ボリュームサイズ、対応するディスクパスや使用タイプを確認できます。これらを通じて、ストレージのオーバーフローを防いで最適な割当てを確保し、ストレージリソースを計画的に拡大可能です。

サービスレベルの指標とワークロードの監視

HANAの各サービスに関しては、CPUやメモリの使用率、リクエストレート、応答時間、アクティブ・保留中のリクエスト数、スレッド数、オープンファイル数、サービスの状態などを確認できます。さらに、実行、コンパイル、トランザクション、コミット、ロールバックを監視することで、システム全体のワークロードを包括的に把握可能です。これにより、様々な負荷状況下でのシステム性能を評価し、リソース配分が最適になるように調整できます。

レプリケーションとバックアップの把握による高可用性の確保

システムのHA(High Availability)構成の監視では、論理サイト名、セカンダリホスト、レプリケーションモード、ステータスなどのシステムレプリケーションの詳細を確認します。これにより、フェイルオーバーの準備状況を検出し、レプリケーションの遅延を事前にトラブルシューティングすることが可能になります。また、サイズ、種類、所要時間、ステータスなどを通じて、バックアップ操作の最新状況を確認することで、データ保護の方策が効果的であるかを把握できます。

実行時間の長いジョブとブロックされたトランザクションの特定

長時間実行中または停止している処理を迅速に検出して調査する際は、詳細なジョブ指標の確認が有効です。指標としては、接続ID、スキーマ、オブジェクト名、開始時間、進捗状況などが挙げられます。さらに、トランザクション統計の項目では、アクティブ、事前コミット中、または中断されたトランザクションを監視します。ブロッキングの状況を分析する際には、ロックされているオブジェクトや、待機中・占有中のトランザクションID、関係するSQLステートメントを特定することで、同時実行に関する問題を効率的に解決できます。

高負荷なSAP HANAクエリをアラートで監視

SQLステートメントの実行時間、メモリサイズ、CPU時間、操作の種類を分析することで、パフォーマンス負荷の高いSQLステートメントを特定できます。システムリソースを多く消費しているクエリを発見することで、ユーザー体験に影響を与える前に最適化が可能になります。アラート機能により、一定期間ごとに収集された最新100件のアラートを確認できます。情報として、重大度、タイムスタンプ、詳細な説明が提示され、迅速な問題解決が支援されます。