L2スイッチとは

「レイヤ2スイッチ」とは、レイヤ2(データリンク層)レベルで通信先を判別し、データを中継・転送するスイッチのことを指します。「L2スイッチ」「L2SW」などと略されて表記されることがあります。

スイッチは通信先の機器がどのポートにつながっているかを記憶し、データを転送する働きをします。L2スイッチの場合、どのポートにどのPCがつながっているかはMACアドレスによって管理されています。MACアドレスは、OSI参照モデルの第2層で扱われるため、「レイヤ(=層)2スイッチ」と呼ばれています。

対して、IPアドレスによってデータ転送先を判別するスイッチのことを「レイヤ3スイッチ」と呼びます。

 

L2スイッチを監視すべき理由

現在のネットワーク構成では、ルーターを中心に複数のスイッチを配置し、スイッチから複数のサーバーやその他のネットワーク機器が接続されている「スター型」や「ツリー型」が一般的です。 「スター型」「ツリー型」のネットワーク構成は、中心となるルーターやスイッチなどの集線機器で障害があると、ネットワークの広範囲で影響を受ける可能性が高くなります。

ネットワーク障害を素早く解決し、障害範囲を広めないためには、L2スイッチの稼働状況とパフォーマンス項目を監視して、状況を把握しておく必要があります。

 

L2スイッチで監視すべき項目

L2スイッチで監視しておくべき項目を以下にご紹介します。
※ご利用のスイッチのベンダーや機種により監視可能な項目が異なる場合がありますので、詳しくはご利用の機種をご確認ください。

Ping監視

機器の稼働状況を監視します。

トラフィック使用率

インターフェイスを介して送受信されるデータの量を計測します。
一般的に、トラフィック量は以下のように計算されます。

受信トラフィック(bps):ΔifInOctets × 8 × 1000 ÷ Δdeltatime

※Δ…前回ポーリングと最新ポーリングの値の差分を表す
※Δdeltatime = 前回ポーリングと最新ポーリングの時間差(ミリ秒)

ifInOctets(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.10)受信した総バイト数(byte)

送信トラフィック(bps):ΔifOutOctets × 8 × 1000 ÷ Δdeltatime

ifOutOctets(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.16)送信した総バイト数(byte)

エラー率

送受信パケット数の合計のうち、エラーになったパケットの割合です。
一般的に、エラー率は以下のように計算されます。

(ΔifInErrors + ΔifOutErrors) × 100 ÷ (ΔifInUcastPkts + ΔifOutUcastPkts + ΔifInDiscards + ΔifOutDiscards + ΔifInErrors + ΔifOutErrors + ΔifInUnknownProtos + ΔHCINMCAST + ΔHCOUTMCAST + ΔHCINBCAST + ΔHCOUTBCAST)

ifInErrors(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.14)受信したエラーパケット総数
ifOutErrors(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.20)送信したエラーパケット総数
ifOutUcastPkts(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.17)送信したユニキャストパケットのパケット総数
ifInUcastPkts(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.11)受信したユニキャストパケットのパケット総数
ifInDiscards(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.13)受信時に破棄したパケットの総数(エラーパケット以外)
ifOutDiscards(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.19)送信時に破棄したパケットの総数(エラーパケット以外)
ifInUnknownProtos(.1.3.6.1.2.1.2.2.1.15)受信パケットのうちプロトコル不明で破棄したパケット総数
HCINMCAST(.1.3.6.1.2.1.31.1.1.1.8)64ビットの受信マルチキャストパケットの総数
HCOUTMCAST(.1.3.6.1.2.1.31.1.1.1.12)64ビットの送信マルチキャストパケットの総数
HCINBCAST(.1.3.6.1.2.1.31.1.1.1.9)64ビットの受信ブロードキャストパケットの総数
HCOUTBCAST(.1.3.6.1.2.1.31.1.1.1.13)64ビットの送信ブロードキャストパケットの総数

CPU使用率

スイッチのCPU使用率です。
※ベンダーによりOIDが異なりますので、ご利用の機器をご確認ください。

メモリ使用率

スイッチのメモリ使用率です。
※ベンダーによりOIDが異なりますので、ご利用の機器をご確認ください。

ネットワーク障害発生時に、障害の影響範囲を拡大させない目的でのL2スイッチの監視を行うための必須の監視項目を解説しました。

Pingコマンドによる死活監視や、上記でご紹介したOIDを利用してSNMPでパフォーマンス値を取得して計算することで、L2スイッチのパフォーマンスが正常であるかを確認することが可能です。

 

L2スイッチの監視をより手軽に実施する方法

L2スイッチの稼働状況確認やネットワークの正常性の確認目的でコマンドを用いた監視を行う場合、監視対象の装置の台数が増加するにつれて、手動のコマンド実行による監視の負荷が増大していきます。

手動でのコマンド実行よりも効率的にネットワーク機器を管理・監視するには、自動でL2スイッチの死活監視やSNMPによるパフォーマンス値を取得してデータ解析するツールを使用するのがお勧めです。

ManageEngineが提供する統合監視ツールである「OpManager」は、Pingコマンドによる死活監視やSNMPを利用したL2スイッチの監視を実現し、L2スイッチのステータスが一目で分かるように可視化します。 スイッチ監視の他にも、サーバー監視、プリンター監視、ルーター監視、CPU監視、メモリ監視、アプリケーション監視、イベントログ監視機能などが、Webベースのわかりやすい画面で管理できます。ネットワークやSNMPに関する知識がない方でも操作が可能で、容易に運用できるのが特徴です。

L2スイッチ監視の自動化・効率化の方法をお探しの場合は、是非「OpManager」の概要や機能詳細をご覧ください。

SNMPから取得したデータをわかりやすく可視化

Linuxサーバーから取得したデータをわかりやすく可視化