パフォーマンス監視とは

IT業界におけるパフォーマンス監視とは、サーバーやネットワーク機器などのITインフラの状態を確認し、必要に応じてそれらを最適化していく、IT運用管理の1つです。つまりパフォーマンス監視は、特定の値を監視することではなく、さまざまな値からITインフラの状態を把握し、パフォーマンス(性能)に影響を与えそうな箇所(対象や値)を可視化・分析することを意味します。
サーバー・ネットワークのパフォーマンス監視で主に用いられる監視対象(値)と概要です。

監視対象(値)概要
死活/Pingサーバー・ネットワーク機器などの可用性を監視
CPU/メモリ/ディスクCPU/メモリ/ディスクなどのリソース使用状況を監視
トラフィックネットワーク帯域を通るトラフィック(通信)量を監視
ハードウェアサーバー・ネットワーク機器の温度、電圧、ファンなどを監視
サービスDNSやLADP、FTPなどのサーバー上で動くプログラムを監視
ファイル/フォルダファイル・フォルダの更新やサイズ、有無の監視
仮想化、クラウド環境仮想サーバーやIaaS、PaaSの監視

 

例えばサーバーをパフォーマンス監視するの場合、CPU・メモリー・ディスクの使用率を監視します。そして、それらの使用率が高い場合などはサーバーの処理パフォーマンスが低下する恐れがあるので、リソースを増強したりスケールアウトさせるなどの対応を取ります。 またネットワークトラフィックの場合は、ネットワーク帯域の使用率などもパフォーマンス監視の対象になります。ネットワーク帯域の使用率が高まってきた場合は、帯域の拡張や通信量の抑制といった対応が行われます。 CPUやメモリー、ネットワーク帯域の使用率などは、サーバーの処理速度やネットワーク通信速度に影響が大きいため、多くの企業・組織でサーバーやネットワークのパフォーマンス監視が行われています。

 

パフォーマンス監視の目的

ITインフラのパフォーマンス監視には、大きく分けて3つの目的があります。

1, 遅延防止

ネットワークやサーバーを快適に利用するためにパフォーマンス監視を行います。
例えば、ネットワークの通信スピードは、ネットワーク機器の性能とネットワーク帯域の使用率が大きく影響します。また、サーバーの処理速度は、サーバー自体の性能とサーバーとユーザーを繫ぐネットワークのパフォーマンスが大きく影響します。社内向けシステムの場合は、ネットワークやサーバーが快適に利用できないことにより、仕事の効率が低下する恐れがあります。

さらに、顧客向けにサービスやアプリケーションを提供している場合は、ネットワークやサーバーの安定性・快適性は会社の利益に直結します。しっかりとパフォーマンス監視を行い、問題がある場合・起こりそうな場合は、直ちに適切な対策が取れる体制を築くことが求められます。

2, キャパシティプラン二ング

ネットワークの帯域幅やサーバーのスペックが適切かどうかを判断するために、パフォーマンス監視を行います。ネットワーク帯域幅のキャパシティプラン二ングを例に見てみましょう。

平均帯域使用率が80%の場合 使用率が80%を超えている場合、「高い」という判断ができます。
この状態でクライアントPCのOSアップデートによる通信が発生し、一時的に帯域使用率が100%に近づくと、ネットワーク遅延や停止といった事態を招きます。すぐに帯域を広げるなどの対処を行うことが求められます。

平均帯域使用率が40%の場合 平均使用率が40%ということは、多くの期間で契約帯域の半分以上が使われていないことになります。
この数値が30%や20%と下がっていく場合は余分な帯域を契約してしまっている状態になるので、契約帯域の再検討をする必要があります。

3, コスト最適化

前述のキャパシティプラン二ングでも記載した通り、パフォーマンス監視により現在のネットワーク帯域含めたITインフラの規模が、運用上最適か否かを判断することができます。規模の小さいITインフラ群を運用している場合はコストの最適化は急務ではありませんが、定期的なキャパシティプラン二ングの実施でコストの最適化を図ることは有益です。

 

パフォーマンス監視の方法

冒頭でも記載した通り、パフォーマンス監視では様々な対象(値)を監視し、ITインフラの状態を把握します。監視する対象は多い方がより正確にITインフラの状態を把握できますが、工数も増大します。 そこで、まずは「死活監視」「CPU/メモリー/ディスク」「トラフィック」の3つを監視することをおすすめします。これらは3つは、一般的な監視技術により監視が可能で、比較的容易に始められます。 上記3つの監視でよく用いられる技術はPingコマンドSNMPです。

現在ではPingコマンドやSNMPを利用した監視は、専用ツールを用いて行うことが一般的になってきました。ツールを使うことで、監視業務を自動化してくれるため、比較的容易に監視を始められます。 市場には様々な価格帯や、様々な機能を持ったツールがあります。予算と要件をしっかりと定義した上で、ツール選定することをおすすめします。

 

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*ミックITリポート2019年4月号「中規模・小規模向けサーバ・ネットワーク統合監視ソフトウェア市場動向」より

SNMPから取得したデータをわかりやすく可視化

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