事例でひも解く「リリース管理」

ITIL®では、リリース管理と展開管理を「新しいITサービスの導入や、既存サービスをアップグレードする際、本番環境に展開するための管理・計画・スケジューリングのプロセス」と定義しています。

ソフトウェアやハードウェアが確実にリリースされるよう計画し、最終的にはITサービスの品質を維持・向上させることがリリース管理およびITIL®の目的ですが、どのようなプロセスなら成功するのでしょうか? 事例をもとに解説していきます。

リリース管理と変更管理の違い

「リリース管理」のプロセスを検討する際に、よく混同されるのが「変更管理」です。まずは、この2つの違いを知ることで、「リリース管理(および展開管理)」が少しわかりやすくなります。

あるチームに新しい従業員が加わり、PCを追加したいという依頼がありました。

  • 変更管理」…そのPCを追加して、障害やダウンタイムなどの問題が発生しないかどうかを評価し、許可を出すのが変更管理。
  • 「リリース管理」…許可を受け、実際にPCをセッティングし、本番環境に接続して、新入社員にPCを渡す一連のプロセスがリリース管理。

【よくある事例】ソフトウェアのリリース遅延

では、実際の例から「リリース管理」の効率的なプロセスを考えていきましょう。

【A社に起きたこと】
某通信企業A社では、CRMソフトウェアのリリースが完成後約2カ月間も滞留。わずか3カ月で25%近い顧客を失いました。リリース遅延によって、顧客はサービスクレジットや返金をタイムリーに受け取ることができず、リクエストのステータスを追跡できる仕組みもありませんでした。

ITILリリース管理の成功事例

リリース遅延を招いた主な原因
  • ハードウェア調達、テスト環境、リリースサイクルにおいて関係者間の合意がとれていなかった
  • 最新のテスト環境が準備できず、本来必要なテストを実施できていなかった
  • 構成管理とリリース管理で統合された変更管理プロセスが存在しなかった

他にもソフトウェアのリリースの際に、多くの不具合や遅延が発生していたため、チームの士気が下がっていたことも、遠因の一つとして指摘されました。

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リリース管理を改善するプロセス

A社は次に紹介する7つのステップで、現状のリリース管理のプロセスを改善していきました。

Step 1:既存のリリース管理プロセスを見直す

既存のリリース管理のプロセスの詳細を分析し理解することで、上記のようなリリース遅延を引き起こしたいくつかの要因を突き止めました。

Step 2:是正方針の決定

要因から今後の修正の方針を打ち出します。

  • 承認されたリリースサイクルの決定と確立
  • プロセスの簡略化
  • タイムリーなテストの実施
  • CMS(構成管理システム)を活用したITインフラの制御

あわせて測定結果とメトリクスを評価に取り込むことや、リリース管理の研修会の開催なども決定しました。

Step 3:新しいリリースサイクルの決定と確立

関係者間で合意したリリースサイクルを定義します。A社の場合は最初1週間のリリースサイクルを試験的に運用しましたが、うまく行きませんでした。そこで2週間に変更し、このリリースサイクルが妥当だと判断しました。

他にも

  • 関係者間で、リリース情報を共有する工程管理表を作成・共有
  • マーケティングや技術チームを含めたすべてのチームが連携できる作業の確立

なども決定しました。

Step 4:リリース管理プロセスを簡略化する

最小限の情報で適切な承認が行えるように、リリース管理プロセスを簡略化することも大事なポイントです。ただし、適切な簡略化のためには、何かしらの記録によって関係者間の情報共有を確実にする必要があります。「何が、どのように実行されたのか」をしっかりと記録し、共有していきます。

Step 5:確実な記録と情報共有のためツールを使用

A社は技術者・非技術者を含めた関係者が記録文書を基準に作業ができるよう、記録文書を基準とするリリース方針を決定しました。そこで必要になったのが記録のためのツールです。

【Tips:ツール選びのポイント】

ポイント:各サイクルで開発した内容を最小限の情報で効果的に記録できること

ServiceDesk Plusは、次のように正確で迅速なリリース管理ができます。

  • 変更からリリースの起票が可能なため、ITインフラのアップグレードを簡素化
  • リリースに関するテンプレート・役割・ステータスを設定することで、リリース管理プロセスを細かくカスタマイズ
  • ワークフローと通知を設定し自動化することで、各関係者へ正確な情報提供が可能
  • カレンダー表示により、各リリースのスケジュールの衝突を回避
sdpcloud-release-management-calendar <リリース管理のカレンダービュー>
各リリースの予定をカレンダービューで確認することで、スケジュールの衝突を回避できます。
sdpcloud-release-management-workflow <リリース管理のワークフロー>
ワークフローと通知を設定し、自動化によって関係者へ迅速な情報提供が可能です。

Step 6:CMSによるITインフラ制御の確立

A社はCMS(構成管理システム)を開発し、ツリー構造とCI(構成アイテム)階層を構築。これによってリリース管理されたITインフラによってソフトウェアを展開でき、すべてのアイテムを適切に配置してソフトウェアを使用することで、予期せぬトラブルを防ぎやすくなります。

Step 7:確実なリリース管理のため人材にも投資

ここであらためて、リリース管理でよく問題になる点を振り返ってみましょう。

どんなに簡単なリリースであっても、複数の担当者やチームが関わることで、コミュニケーション不足が発生するおそれがあります。そこでA社は構成管理、変更管理、リリース管理のチームを集めて研修会を開催しました。内容はリリース管理の基礎の復習やメトリクスの導入、各チームの役割や責任の確認など。構成管理、変更管理、リリース管理、そして人材の相乗効果によって、A社はリリース管理の改善に成功しました。

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まとめ

①レベルの高いリリース管理には「人材」ありき
②その「人材」をつなぐのに重要なのが、チーム・関係者間の迅速で確実な「情報提供」
③「情報提供」を促進するには効果的な記録ツールとしての「ITSMツール」が必要
④各リリースのスケジュール衝突を回避でき、リリース管理のプロセスを自社の実情に細かく合わせてコントロールできるのがServiceDesk Plus

リリース管理プロセスを変更管理プロセスから切り話す組織が多いですが、一元的な管理ができると、リリース管理を通じて変更管理も効率的に実施できます。

ServiceDesk Plusなら変更管理にも活用できる「ITSMツールで一元的に行うリリース管理」が実現できます。

※ ITIL(IT Infrastructure Library®)はAXELOS Limitedの登録商標です。