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NFAが表示する「速度」とは?「帯域ひっ迫=速度低下」とならない理由


目次 :

 

概要

  • NetFlow Analyzer(NFA)が表示する、ネットワークにおける「速度」の概念を解説します。
  • 以下のご不明点と問題を解消いただけます。
    • NetFlow Analyzerが表示する「速度」は何を根拠にどう表示されている?
    • 車の渋滞のように、ネットワークが混むほど「速度」は下がるもの?
    • 帯域使用率が100%を越えている


※図は、NetFlow Analyzer →[インベントリ]→[インターフェース]→ 特定インターフェース →[トラフィック]タブ の画面

 

解説

速度の概念とNetFlow Analyzer内の速度算出方法

一般的に私たちがイメージする「速度」は、距離 ÷ 時間 で表される「この時間でこれだけ進んだ/進める」という 上図の乗り物(動く物体)目線の概念 かと思います。
一方のNetFlow Analyzerが表示する「速度」は、特定期間に特定の地点を通過した全乗り物の総体積 ÷ 時間 で表される「この時間でこの総体積の乗り物をさばいた/さばける」という 上図の道路上一点の目線の転送速度(処理能力に近しい)の概念 となります。

計算式の差からも、一般的な「速度(物体の進行スピード)」とNetFlow Analyzerが表示するネットワークの「(転送)速度」は、異なる概念と言えます。

 

上記のイメージを、通過パケットを監視するインターフェース(IF)の受信側に置き換えると
特定期間(1分毎)にIF入口を受信方向に通過するパケットの容量が計測され、IFは同情報をフローデータ化しNetFlow Analyzerへ送付します。
※保持データの詳細はこちらのナレッジをご参照ください

※図は、左のIF入口からネットワーク機器に入るパケットの順番(右が先、左が後)とパケットの容量を表現しています

 

NetFlow Analyzerは受信したフローデータから、最短1分毎に発生した パケットの総容量 を認識し、さらに 1分で割ります。
上図を例にすると 最初の60秒間で180MB次の60秒間で60MB(20MB+40MB)となり、それぞれ 180MB / 分(180MBpm)、60MB /分(60MBpm)と表されます。

最後に"Bpm"という書き方を、より一般的な"bps"に変換します。
Byte(s)をbit(s)に変換(×8)し、minute(s)をseconds(s)に変換(÷60)するので、
最初の60秒における速度値は 24Mbps(180×8÷60)
後続60秒における速度値は 8Mbps(60×8÷60)
となります。

繰り返しになりますが、これらの値は「パケットの移動速度」ではなく「インターフェース入口における転送速度」となります。
以上、NetFlow Analyzerが表示する「速度」の概念と、NetFlow Analyzer内の速度値の算出方法を解説しました。

 

輻輳発生時の考え方

前提として、トラフィックの輻輳(渋滞)が起こる場所は、LANケーブル上ではなくネットワーク機器内で発生します。
高速道路などのイメージの延長では、ネットワーク機器をつなぐLANケーブルのような線上で渋滞が発生するイメージにつながりますが、
機器同士での帯域幅の情報交換やオートネゴシエーションなどを考慮し、キューの生成もその処理もネットワーク機器内部で発生します。

ここでNetFlow Analyzerが監視するインターフェース受信側の輻輳を想定すると、パケットはインターフェース帯域幅一杯に受信され機器内にキューを作り続けます。
言い換えると、特定期間の該当インターフェース受信側における転送速度 は帯域幅一杯となり、高い速度値が表示されます。

またNetFlow Analyzerが監視するインターフェース送信側の輻輳を想定する場合も、キュー内のパケットをインターフェース帯域幅一杯に送信し続けるため
特定期間の該当インターフェースにおける転送測度も帯域幅一杯となり、高い速度値が表示されます。
※送信容量が受信時の送信予定量から算出されている場合、送信帯域幅以上の値が表示される場合があります

 

よくある質問 : ネットワークが混むほど「速度」は下がるもの?

「高速道路が混めば車の移動速度は下がる」というイメージから「ネットワークが混めば通信速度が下がる」という認識 につながりやすいのですが、
上述の通り、NetFlow Analyzerが表示する速度は「インターフェースの転送速度」という点と、「待ち行列は機器内で発生し、忙しい時ほどインターフェース出入口の転送速度はフル稼働する」という点から
輻輳が発生するほど、NetFlow Analyzerが表示する速度値は大きくなる(上限あり) と解釈することが可能です。
※上記に起因して、CPU使用率の上昇やキューイング、帯域制御が発生し、ネットワークユーザーは遅延を体感することが想定できます

 

よくある質問 : 帯域使用率が100%を越えている

インターフェースの帯域使用率は、実際の(転送)速度 ÷ インターフェース帯域幅(転送速度上限)で算出されます。
NetFlow Analyzerのインターフェース帯域幅はデフォルトで1Mbpsが設定されており、実際のインターフェース帯域幅を設定し直していただく必要があります。
詳細はこちらのナレッジをご参照ください。