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Office Click-to-Run 設定


確認ビルド: Endpoint Central 11.3.2400.33

この記事では、Microsoft Officeのパッチ配布に必要な「Office Click-to-Run 設定」について説明しています。なお、ご利用中のビルドによっては、表示言語に日本語を選択している場合でも一部英語表示となる箇所があります。

Office Click-to-Run設定

Office Click-to-Run設定の目的

Click-to-Run設定は、Microsoft Officeの更新プログラム(パッチ)を配布するために必要な設定です。

MS Office 特有の Click-to-Run形式への対応に加えて、サポート対象の言語パックの拡大やユーザーに手動インストールを許可する機能を追加するため、Desktop Central 10.1.2137.1 においてOffice 365クイック実行(Click-to-Run)設定機能が実装されました。MS Officeのパッチの特徴として、各エージェントがダウンロードするファイルのサイズが非常に大きいこと、Officeアプリケーションの実行中にパッチを適用できないことが挙げられます。これらに対応するための設定がOffice Click-to-Run設定です、
ダウンロードするファイルのサイズを最小限にするため、またパッチ配布時にOfficeアプリケーションが実行中だった場合の挙動について、Click-to-Run設定で指定します。

クイック実行(Click-to-Run、C2R)形式とは
クイック実行(Click to Run、C2R)形式は、Microsoft Officeアプリケーションの新規インストールや更新プログラム(パッチ)のインストールの効率化のためにMicrosoftがWindows向けの Office 2013 以降に導入したものです。M365 OfficeアプリケーションやOffice 2019以降では従来のMSI形式の提供がなくなったため、Officeの更新プログラムはすべてこのクイック実行形式となります。
クイック実行形式は仮想化技術を使用してストリーミングでバイナリファイルをダウンロードするため、全体の通信量の削減が可能とされていますが、アプリケーション実行中にパッチを適用できない / エージェント単位でみると必要な通信量が大きい / WSUSでは配布できない といった問題があります。

参考:インストールのOffice クイック実行および関連するマルウェア対策アプリケーションに関する情報(Microsoft)

 


Office Click-to-Run設定でできること
  • 実行中の場合の挙動の指定:
    パッチ適用時にOfficeアプリケーションが実行中だった場合の挙動を指定し、Officeの意図しない強制終了やパッチ適用の失敗を防ぎます。
  • 言語パックと追加校正ツールの指定:
    パッチダウンロード時に言語パック(Language Packs)および追加校正ツール(Additional Proofing Tools)をダウンロードするかどうかを選択します。これにより、不要な言語パックを削除することで、配布する更新プログラムの容量を削減します。また、管理対象で検出されたOS言語について、言語パックを自動的に追加するかを指定できます。また、古いバージョンのパッチ(設定時点でダウンロード可能なものに限ります)についても、追加された言語の分を再ダウンロードするかを指定できます。

 


Office Click-to-Run 設定の手順

  1. コンソール画面にAdministratorの役割を持つユーザーとしてログインし、「パッチ管理」タブ →「設定」→「Office Click-to-Run 設定」を開きます。
  2. アップデートと一緒にダウンロードする言語パック(Language Packs to be downloaded with the updates): 管理対象で検出されたOSの言語が表示されています。必要に応じて、Officeに追加したい言語パックを入力し、不要な言語パックを削除します。
  3. 追加の構成ツール(Additional Proofing Tools): 追加したい追加校正ツールの言語をプルダウンから選択します。
    管理対象において「校正ツール」がインストール済みの場合、インストール済みの校正ツールの言語をすべて選択します。校正ツールがインストールされていない場合、選択する必要はありません。
    (参考)Microsoft Office 校正ツール 2016 - 日本語(Microsoft)
  4. ネットワークで検出されたOffice Click-to-Runアプリケーション言語を自動的に言語パックリストに追加する、
    新しく追加された言語パックで古いアップデートを再ダウンロードする
    :日本語以外の言語パックの導入が必要な場合に有効化を検討します。
    管理対象で新たな言語が検出された場合に、自動的に言語パックを追加する場合は「ネットワークで検出されたOffice Click-to-Runアプリケーション言語を自動的に言語パックリストに追加する」(Automatically add Office Click-to-Run application languages, newly discovered in the network to the selected Language Pack list)にチェックを入れます。また、その際に以前のパッチについても、新たな言語パックに対応するものを自動的にダウンロードする場合は合わせて「新しく追加された言語パックで古いアップデートを再ダウンロードする」(Re-download old updates with the newly added language packs)にチェックを入れます。
     
  5. 配信サーバーのためのダウンロードソース(Download source for Distribution Servers):配信サーバーを設置している場合は、「Microsoft CDN」を、配信サーバーを設置していない場合は「Centralサーバー」を選択します。
    この設定では、配布するファイルをインターネット(Microsoft CDN)またはCentralサーバー(Endpoint Centralサーバー)のどちらからダウンロードするかを指定します。配信サーバーを設置している場合、ネットワークの帯域幅消費を抑えるために「Microsoft CDN」を選択することをおすすめします。
  6. Officeアプリケーション使用中のインストールについて設定する(How would you like to proceed with installation when Office applications are in use): Officeアプリケーション実行中にパッチが適用される場合の挙動について選択します。
    • 使用中のアプリケーションを強制的にクローズしアップデートする(Close application in use forcefully and then update): Officeアプリケーションを強制的に終了し、パッチを適用します。
    • Officeアプリケーション使用中にアップデートをインストールしない(Do not install updates when an Office application user): Officeアプリケーション実行中の配布を中止します。
    • アップデート時、エンドユーザーにスキップまたは使用中のアプリケーションをクローズしアップデートの進行を許可する(Allow the end-user to skip/close the application in use and proceed with the update): ユーザーがパッチ適用を延期するか、Officeアプリケーションを閉じて適用するか選択できます。
  7. [保存]をクリックします。
Office Click-to-Run 設定を構成すると、オフィス展開ツール(ODT=Office Deployment Tool)によってEndpoint CentralサーバーにC2R形式のパッチがダウンロードされ、zipとして保存されます。それ以降のOfficeパッチ配布においてはエージェントはこのパッチ全体をダウンロードせず、必要なファイルのみをダウンロードします。これにより、配布時の帯域幅消費を低減します。また、管理対象に複数言語が含まれる場合の管理を簡単にします。
 
Office Click-to-Run設定後にパッチを1回以上適用した場合、UpdateURLがリセットされるため、Click-to-Run(C2R)形式Officeアプリケーションの手動更新が可能になります。

この記事は、こちらこちら、およびこちらの英語ドキュメントを参考に作成されています。