Patch Manager Plus Cloud ナレッジベース

ドメイン/ワークグループの登録


この記事では、Active Directoryドメインに所属するコンピューターをPatch Manager Plus Cloudを利用して管理する際の設定について説明しています。また、ドメインに所属しないワークグループ環境についても、合わせて説明しています。

Patch Manager Plus Cloudを使用する際の各種操作は、Active Directoryドメイン(またはワークグループ)の使用の有無に着目して分類すると、以下の3種類に分けられます。

  • A. ドメイン名(ワークグループ名)を使用する操作
  • B. ドメイン名(ワークグループ名)に加えて、ドメイン(ワークグループ)の資格情報を使用する操作
  • C. 上記のいずれでもない操作(ドメインやワークグループを特に指定せずに行う各種操作)

この記事では、まず、上記のAとBのためにどのような設定が必要となるかについて、それぞれ説明します。
そして、ドメイン(ワークグループ)を追加・編集する手順について説明します。

目次

 


A. ドメイン名(ワークグループ名)を使用する操作

ドメイン名(ワークグループ名)を使用する場面

Patch Manager Plus Cloudにおいて、コンピューターが一覧で表示される画面の多くでは、コンピューターを絞り込むためのフィルター条件としてドメイン名を指定可能です。
(ワークグループ環境の端末の場合、ドメイン名の代わりとしてワークグループ名(「WORKGROUP」など)を指定できます。)

必要な設定
  • Windows/Macの場合
    上記で使用するためのドメイン名・ワークグループ名の情報は、WindowsおよびMacのコンピューターの場合、各エージェントから自動的に取得されます(情報を取得させるために、Patch Manager Plus Cloud上で特に設定を行う必要はありません)。
  • Linuxの場合
    ドメイン名・ワークグループ名の情報は自動的に取得されません。Linux端末にエージェントをインストールする前に、あらかじめ[エージェント]タブ → [設定] → [エージェント設定] → [Linuxエージェントの設定]小タブより、「ネットワーク上のLinuxの管理設定」から、ドメイン名またはワークグループ名を指定します。

    • デフォルトでは「linuxosgroup」という名前のワークグループが用意されています。管理上、ドメイン名(ワークグループ名)を特に意識しない運用の場合、「ネットワーク上のLinuxの管理設定」において「linuxosgroup」を指定します。これによりLinuxコンピューターは、エージェントインストール時にドメイン名(ワークグループ名)を別途指定しない限り、形式上、すべて「linuxosgroup」に所属しているものとして扱われます。
    • 「ネットワーク上のLinuxの管理設定」において「linuxosgroup」以外の任意のドメイン名(ワークグループ名)を使用するには、あらかじめドメイン(ワークグループ)を手動で追加します。

     

B. ドメイン(ワークグループ)の資格情報を使用する操作

ドメイン(ワークグループ)の資格情報を使用する場面

以下のような場合、ドメイン(ワークグループ)の資格情報をPatch Manager Plus Cloudにあらかじめ登録しておく必要があります。

  • パッチの自動配布において、配布対象の選択にOU(組織単位)やサイトなどを使用する場合
  • Active Directoryドメインにコンピューターオブジェクトが追加された(または削除された)際に、それに合わせて自動的にPatch Manager Plus Cloud上でもコンピューターを追加(または削除)する場合(設定方法はAD同期設定をご参照ください。)
  • 上記のほか、エージェントのインストールにおいて、資格情報が必要な一部のインストール方法を使用する場合
    エージェントのインストールには複数の方法が存在するため、ご利用のネットワーク環境や台数規模などに応じ、最も都合のよい方法を使用します(主なインストール方法は「エージェントのインストール方法」をご覧ください)。
     
    以下のような場合、あらかじめ資格情報をPatch Manager Plus Cloud上に登録しておく必要があります

    • Patch Manager Plus Cloudのコンソール画面上の操作のみによって遠隔でエージェントをインストールする場合
    • AD同期設定」に基づいてエージェントの自動インストールを実行させる場合

     
    以下のような場合、Patch Manager Plus Cloud上に資格情報が登録されている必要はありません

    • 対象のコンピューター上で直接エージェントのインストーラーを実行する場合
    • 必要なファイルをドメインコントローラーに配置し、GPOスクリプトを実行することでエージェントをインストールする場合
必要な設定(ドメインの場合)

(ワークグループではなく)ドメインの資格情報を必要とする操作をPatch Manager Plus Cloud上で実行するには、あらかじめ「ADコネクター」の設定が必要です。ADコネクターがドメインコントローラーとの同期を定期的に実行することで、最新の情報を取得します。
 
設定の手順は、以下のとおりです。

  1. リモートオフィスを最低1つ作成します。なお、作成するリモートオフィスのうちの少なくとも1つは、配信サーバーを使用するよう指定します。
  2. 配信サーバーを使用するよう指定したリモートオフィスについて、配信サーバーのインストールを完了させます。
  3. [エージェント]タブ → [管理対象] → [ドメイン] において、ADコネクターとして使用する配信サーバーを1つ選択します。
    (なお、この配信サーバーは「ADコネクター専用」とする必要はありません。他の配信サーバーと同様、「エージェントが各種ファイルを配信サーバーからダウンロードする」という目的で使用できます。)

    2025年のPatch Manager Plus Cloudの更新により、画面上、ADコネクターの設定を行う場所が変更されています(更新はお客様ごとに順次適用されるため、適用の時期はお客様により異なります。)
    上記スクリーンショット画像で示す場所にADコネクターの設定が見当たらない場合、この手順(手順「3.」)は飛ばします。(その場合、この次の次の手順「5.」で各ドメインの資格情報をPatch Manager Plus Cloud上に登録(入力)する際に、ADコネクターについても合わせて指定します。)
  4. ドメインコントローラーにおいて、以下のポートの少なくとも一方が開放されていることを確認します。
    ADコネクターとして使用する配信サーバーは、この次の手順「5.」で資格情報を登録するドメインのドメインコントローラーに対して、アクセス可能である必要があります。
    複数のドメインについてPatch Manager Plus Cloud上に資格情報を登録する場合、各ドメイン間に信頼関係がある必要があります。
    ポート番号 目的 プロトコル 方向
    389 配信サーバーとドメインコントローラーの通信 LDAP 配信サーバーからのアウトバウンド通信
    636(変更可能) 配信サーバーとドメインコントローラーのセキュア通信 LDAP SSL 配信サーバーからのアウトバウンド通信

     

  5. 後述の「新規ドメイン(ワークグループ)の手動での追加」または「既存のドメイン(ワークグループ)の編集」の手順に沿って、各ドメインの資格情報をPatch Manager Plus Cloud上に登録(入力)します。
必要な設定(ワークグループの場合)
  • ある特定のワークグループに関して資格情報をPatch Manager Plus Cloud上に登録する場合、そのワークグループに所属するすべてのコンピューターに対して管理者権限をもつユーザーが存在する必要があります。
  • そのため、あらかじめ各端末でそのような管理者ユーザーを作成しておく必要があります。
    もし各コンピューターに共通して管理者権限をもつユーザーが存在しない(今後そのようなユーザーを作成する予定もない)場合、次のような対応が可能です。

    • 資格情報をPatch Manager Plus Cloud上に登録せずに、Patch Manager Plus Cloudの利用を継続する
      → いったんエージェントが管理者権限でインストールされると、パッチの適用やエージェントの自動更新などの操作は、(資格情報の登録の有無にかかわらず)エージェント自身が管理者権限で実行します。
    • ダミーの資格情報をPatch Manager Plus Cloud上に登録する
      → 上記と同様ですが、特にLinuxを管理する際に「linuxosgroup」に代えて他のワークグループ名を使用したい場合、あらかじめ、ワークグループを(形式上)作成しておく必要があります。ダミーの資格情報を使用してワークグループを作成(新規追加)し、そのワークグループを「ネットワーク上のLinuxの管理設定」で指定します。
  • 作成した管理者ユーザーの資格情報(ユーザー名・パスワード)を、後述の「新規ドメイン(ワークグループ)の手動での追加」または「既存のドメイン(ワークグループ)の編集」の手順に沿って入力します。

 


ドメイン(ワークグループ)の追加および編集

新規ドメイン(ワークグループ)の手動での追加

Patch Manager Plus Cloud上にドメイン(ワークグループ)を手動で追加するには、以下の手順を実施します。

ドメインを追加する場合、上記「必要な設定(ドメインの場合)」のとおり、「ADコネクター」として使用する配信サーバーを選択する必要があります(なお、ワークグループを追加する場合、ADコネクターは不要です)。
  1. [エージェント]タブ → [管理対象] → [ドメイン] を開きます。
  2. 「+ ドメインの追加」をクリックし、「Active Directory」または「ワークグループ」を選択します。
  3. 以下の各項目を入力します。
    • 「Active Directory」を選択した場合は以下の項目を入力します。
      • ドメイン名: ドメインのNetBIOS名を入力します。
      • ドメインユーザ名: ドメイン管理者権限を持つユーザー名を指定します。
      • パスワード: 上記ユーザーのパスワードを入力します。
      • ADドメイン名: Active Directory のドメイン名(DNS名)を指定します。
      • ドメインコントローラー名: ドメインコントローラーのホスト名を入力します。
      • AD Connector(表示されている場合のみ): ADコネクターとして使用する配信サーバーを選択します。なお、こちらに「AD Connector(ADコネクター)」の項目が表示されていない場合は、ADコネクターの設定(選択)は[エージェント]タブ → [管理対象] → [ドメイン] の画面上で行います(上記「必要な設定(ドメインの場合)」のスクリーンショット画像をご参照ください)。
      • LDAP SSLを使用: 必要に応じて選択し、ポート番号(デフォルトは 636)を指定します。
      指定する管理者資格情報は、そのドメインに所属し、Patch Manager Plus Cloudの管理対象となるすべてのコンピューターで管理者特権を持っている必要があります。
      (セキュリティポリシー上許容される場合は、パスワードポリシーが “Never Expire”となっている Patch Manager Plus Cloud 専用のドメイン管理ユーザーアカウントを持つことをお勧めします。)
    • 「ワークグループ」を選択した場合は以下の項目を入力します。
      • ドメイン名: ワークグループ名を入力します。
      • 管理者のユーザ名: ワークグループ内のすべての端末に共通して管理者権限を持つユーザー名を指定します
        (そのようなユーザーが存在しない場合、ダミーのユーザー名を入力することも可能です)。
      • パスワード: 上記ユーザーのパスワードを入力します。
      • DNSサフィックス: 必要に応じて指定します。
  4. 「ドメインの追加」をクリックします。

 

ドメイン(ワークグループ)の自動追加

上記「ドメイン名(ワークグループ名)を使用する操作」に記載のとおり、WindowsおよびMacの場合、エージェントをインストールするとドメイン名(ワークグループ名)の情報がPatch Manager Plus Cloud上に自動で追加されます。自動追加されたドメイン(ワークグループ)についてユーザー名・パスワード等を登録するには、次の「既存のドメイン(ワークグループ)の編集」の手順を実施します。

 

既存のドメイン(ワークグループ)の編集

既にPatch Manager Plus Cloud上に登録されているドメイン(ワークグループ)について情報を編集するには、以下の手順を実施します。

資格情報をPatch Manager Plus Cloud上にまだ登録(入力)していなかったドメインについて資格情報を新たに入力する場合は、上記「必要な設定(ドメインの場合)」のとおり、「ADコネクター」として使用する配信サーバーを選択する必要があります(なお、ワークグループについて資格情報を入力する場合、ADコネクターは不要です)。
  1. [エージェント]タブ → [管理対象] → [ドメイン] を開きます。
  2. 資格情報を登録・編集する対象のドメイン(ワークグループ)が表示されていることを確認します。「アクション」列の三点リーダーアイコン(...)をクリックし、「Change to Active Directory」(または「Change to Workgroup」)、または「変更」をクリックします。
    資格情報をまだ登録していないドメインは、形式上、ワークグループとして表示されています。「Change to Active Directory(Active Directoryに変更)」をクリックすることで、ドメインとしての扱いに切り替えたうえで、資格情報を登録することができます。
  3. 画面に沿って、必要な項目を入力します(各項目の詳細は、ドメイン(ワークグループ)を新規で追加する場合と同様です)。
  4. 「Update Domain Details(ドメインの詳細を更新する)」をクリックします。

 


ドメインを新規追加・編集できない

ドメインを新規追加(または編集)しようと必要情報をすべて入力後、「Validation Failed」のエラーによりドメインを追加できない場合、次のいずれかの理由が考えられます。

  • 入力したドメイン名/Active Directoryドメイン名/ドメインコントローラー名に誤りがある
    正しいドメイン名/Active Directoryドメイン名/ドメインコントローラー名を入力します。
  • 入力した管理者資格情報(ユーザー名とパスワード)に誤りがある
    入力した資格情報に対し、すべてのクライアントPCの管理者権限があることを確認します。
  • 入力した管理者が、指定したドメインに対し管理者権限を持たない無効なユーザーである
    入力したドメインユーザー名に対し、指定したドメインの管理者権限があることを確認します。また、入力したパスワードに対し、大文字小文字の入力ミス、スペルミス等がないか確認します。
  • ドメインコントローラーにアクセスできない
    AD コネクターに指定した配信サーバーから、入力したドメインコントローラーにアクセスできるか確認します。ドメインコントローラーにアクセスできない場合、次のいずれかの原因が考えられます。

    • ネットワークエラー(IT管理者に確認してください)
    • ドメインコントローラーの電源がOFFになっている
    • Active Directoryがドメインコントローラーで稼働していない
正しいActive Directoryドメインを指定しているか確認するためには、次の手順を実施します。

  1. コマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを入力してEnterを押下します。

    set u

  2. 次の情報が表示されます。
    • USERDNSDOMAIN=Active Directoryのドメイン名
    • USERDOMAIN=ドメイン名
    • USERNAME=ユーザー名
    • USERPROFILE=ユーザープロファイル

正しいドメインコントローラー名を入力しているか確認するためには、次の手順を実施します。

  1. コマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを入力してEnterを押下します。

    SET LOGONSERVER

  2. 画面上でLOGONSERVERに表示される名前が、ドメインコントローラー名となります。