ServiceDesk Plus Cloud ナレッジベース

Zabbixのアラート通知をリクエストとして特定の技術担当者に割り当てる


動作確認日:2025年9月12日

対応エディション:すべてのEdition

ServiceDesk Plus Cloud上の設定作業に必要な役割:SDAdmin

概要

ServiceDesk Plus Cloudは、メールボックスで受信したメールからリクエストを起票することが可能です。本ナレッジではメールによるZabbixのアラート通知をServiceDesk Plus Cloudで受信し、自動的にリクエストを起票するための手順を紹介します。
また、業務ルール機能を活用し、起票されたリクエストを特定の技術担当者に割り当てる方法や、問題への対応を業務として行う場合に活用できるリクエストモジュールの機能も紹介します。

実現すること

Zabbixが発報するアラートのメール通知から自動的にServiceDesk Plus Cloudのリクエストを起票します。また、業務ルールを設定して起票されたリクエストを特定の技術担当者に自動的に割り当てます。

連携のメリット

対応が必要な問題を起票、可視化することで、問題の発生から対応の完了までを一元的に管理できます。
システム監視製品単独では難しい、誰が、いつ、どのように対応するかまでを含めた、問題とそれに対する業務の関連づけを、ServiceDesk Plus Cloudを用いて実現します。

ユースケース

Zabbixの監視対象に発生する問題への対応の担当者に、特定のスタッフが割り当てられています。これまで問題への対応状況の共有は業務報告などで行われていましたが、発生する問題と対応、対応履歴をServiceDesk Plus Cloudを利用して一元的に管理します。

以下、説明のため簡素化した設定を用いますが、実際には実務の体制を反映するための各種設定をServiceDesk Plus Cloudにて行います。

リクエストを特定の技術担当者に割り当てる手順

本ナレッジはZabbix 7.0 LTSを使用して検証を行っております。
以下、Zabbixの導入、初期設定、必要な監視設定はすでに行われていることを前提とします。Zabbixの各種設定についてはZabbixのドキュメントをご確認ください。

ServiceDesk Plus Cloudのメール設定

以下の手順で、ServiceDesk Plus Cloudのインスタンスが受信したメールから自動的にリクエストを起票するよう設定します。

  1. ServiceDesk Plus Cloudにログインし、[管理]→[メール設定]→[メールサーバー設定]に移動します。
  2. 「受信 設定」配下の「未登録ユーザーからのメール経由のリクエストの作成を有効にする」をチェックします。
  3. [保存]をクリックして設定を保存します。

上記の設定により、Zabbixのアラートを通知するメールを受信するとServiceDesk Plus Cloudのリクエストが自動的に起票されるようになります。

Zabbixのアラート通知メールの送信メールアドレスをServiceDesk Plus Cloudのユーザーとして登録する場合、「未登録ユーザーからのメール経由のリクエストの作成を有効にする」の設定は不要です。送信メールアドレス登録の有無は、お客さまの運用に合わせてご選択ください。

Zabbixのアラート通知設定

Zabbixが発報するアラートをメールで通知し、ServiceDesk Plus Cloudのインスタンス宛のメールアドレスに送信するよう通知設定を行います。

本ナレッジではデフォルトユーザー「Admin」でZabbixにログインして設定を行っています。

メディアタイプと送信メールサーバーの設定
  1. Zabbixにログインし、サイドバーから[通知]→[メディアタイプ]に移動します。
  2. メディアタイプ一覧画面上で[Email]または[Email(HTML)]を選択してクリックします。
    メール本文にHTMLを利用したい場合は[Email(HTML)]を選択してください。

  3. 表示される詳細設定ウィンドウの「メディアタイプ」タブ内で、送信メールサーバーを設定します。お使いのメールサーバーの情報を入力してください。
  4. 「メディアタイプ」タブ内の「有効」をチェックします。
  5. [更新]をクリックし、設定を保存します。

メディアタイプ一覧画面上の[テスト]から、設定したメディアタイプによるアラート通知の送信テストを行えます。

メディアタイプのZabbixユーザーへの割り当て

メディアタイプと送信メールサーバーの設定」で有効化したメディアタイプを、Zabbix上のユーザーに関連付けます。本ナレッジでは、設定したメディアタイプをデフォルトユーザー「Admin」に関連付けます。

Zabbix上のユーザーに関連付けられていないメディアタイプは、有効に設定されていても通知を送信できません。
  1. Zabbixサイドバーから[ユーザー]→[ユーザー]に移動します。
  2. ユーザー一覧画面から[Admin]を選択してクリックします。
  3. ユーザー詳細設定画面の「メディア」タブに移動し、カラム「タイプ」の[追加]をクリックします。
  4. 「タイプ」ドロップダウンメニューにて、設定したメディアタイプを選択します。
  5. 「送信先」フィールドに通知を送信したいServiceDesk Plus Cloudインスタンスに付与されたメールアドレスを入力します。
  6. [更新]をクリックして設定を保存します。

上記設定が完了すると、Zabbixが発報したアラートの通知メールがServiceDesk Plus Cloudのメールボックスに送信されるようになります。

SerivceDesk Plus Cloudの業務ルールの設定

ここまでの設定を行うことで、Zabbixのアラートが自動的にServiceDesk Plus Cloudのリクエストとして起票されるようになります。以下の設定を行い、Zabbixからのアラート通知メールに基づいて起票されたリクエストを、ServiceDesk Plus Cloudの特定の技術担当者に割り当てるよう設定します。

  1. ServiceDesk Plus Cloudの[管理]→[自動化]→[業務ルール]に移動します。
  2. ドロップダウンメニューで「リクエスト」を選択し、[新規業務ルールの追加]をクリックします。
  3. 「リクエストの新規業務ルール」ウィンドウにて、必要事項を入力します。
  4. [保存]をクリックして業務ルールを保存します。

本ナレッジではZabbixのアラート通知をすべて同じ技術担当者に割り当てる設定を解説しましたが、業務ルールの条件の設定やアクションを工夫することにより、以下のような設定も可能です。

  • アラートの種類によって割り当てる技術担当者を変更する
  • ハードウェア監視を担当する技術担当者をまとめたグループを作成し、チーム内の役割分担に応じた割り当てを行う

お客さま組織の運用形態に応じて適宜設定を行ってください。

問題への対処、解決におけるServiceDesk Plus Cloudの利用

リクエストを割り当てられた技術担当者は問題への対処にあたります。以下に問題の管理に役立つServiceDesk Plus Cloudのリクエストモジュールの機能を紹介します。

タスク

問題への対処にあたって必要な作業や工程を「タスク」として登録できます。頻出するタスクをテンプレートとして事前に用意しておくことも可能です。リクエストからのタスクの設定方法の詳細は「タスクの追加」をご参照ください。

作業ログ

問題への対処中の作業内容や所要時間を「作業ログ」に記録することで、問題解決のために行った作業の内容やその所要時間を可視化、記録することができます。単純な作業記録としてだけではなく、オペレーションの改善のための分析にも利用できます。作業ログの詳細は「作業ログの追加」をご参照ください。

リクエストのクローズ

対処が完了し、問題が解決したらリクエストをクローズします。クローズの際、クローズに至った理由(問題を解決した処置)などをコメントとして記録します。詳細は「リクエストのクローズ」をご参照ください。

問題の関連付け

一度解決しても再発する可能性がある性質の問題の場合、再発防止策や根本原因の解消を検討する必要があります。リクエストに「問題」モジュールの問題を関連付けることで、問題を継続的な業務課題として管理します。リクエストからの問題の関連付け、新規作成の方法は「リクエストに問題を関連付け」をご参照ください。

ManageEngine OpManagerとServiceDesk Plus Cloudの連携

ManageEngine OpManagerは、Zabbix同様にネットワークの統合監視を実現する製品です。OpManagerとServiceDesk Plus Cloudを連携することにより、本ナレッジで説明しているものと同様の挙動だけでなく、より高度な連携をシームレスに実現できます。OpManagerとServiceDesk Plus Cloudの連携の概要はOpManager公式サイト「ServiceDesk Plus Cloud連携機能」をご一読ください。

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