ソフトウェア配布機能の使用方法
この記事では、Endpoint Central Cloudのソフトウェア配布機能の概要、およびソフトウェア配布機能を使用して対象のコンピューターにソフトウェアを一括配布(インストール)する方法、またはセルフサービスポータル経由で配布する方法について説明しています。
なおモバイルOSに対してアプリを配布する場合は、MDMに関するドキュメントやiOSアプリのサイレントインストール方法(MDM)をご覧ください。
ソフトウェア配布機能
ソフトウェア配布機能は、「ソフトウェア配布」タブ(環境によっては「ソフトウェア展開」タブ)から利用可能です。
以下の手順を実行することで、管理対象コンピューター(Windows / Windows Server / Mac )に任意のソフトウェア*をインストールできます。Ubuntu、Debianに対しては、既定のパッケージのインストール**が可能です。
ソフトウェア配布機能が対応する実行ファイルの形式についてはこちらをご覧ください。
2. パッケージの作成(Windowsの場合、Macの場合、Ubuntu/Debianの場合、その他の場合)
3. ソフトウェアの配布 (またはセルフサービスポータルでの公開)
*……ソフトウェアに限らず、例えばスクリプトを登録することで、管理者権限のないユーザーに、スクリプトを管理者権限で実行できるように配布することも可能です。
**……カスタムスクリプト機能を使用することで、Red Hat や CentOS など他のディストリビューションや、Ubuntu / Debianでも既定のパッケージに存在しないアプリケーションをインストールすることが可能な場合があります。
1. ソフトウェア配布の準備
- ソフトウェアリポジトリの作成(任意)
Endpoint Central Cloudでは、配布するアプリケーションをクラウド上にアップロードするか、Window用インストーラーをネットワーク共有フォルダーに配置するかを選択できます。
ネットワーク共有フォルダーに配置する場合、配置場所として「ソフトウェアリポジトリ」を設定します(※そのようなフォルダーが無い場合は、スキップして次の項目に進みます)。- 「ソフトウェア配布」タブ →「設定」→「ソフトウェアリポジトリ」を開きます。
- 「ネットワーク共有」に、共有フォルダーへのパスを入力します。
- 共有フォルダーへのアクセスに認証が必要な場合は、「資格情報を使って共有パスにアクセスする」にチェックを入れ、ユーザー名とパスワードを入力します。
- [保存]をクリックします。
ソフトウェアリポジトリを設定するメリット
ソフトウェアリポジトリは、配布対象のすべてのエージェントからアクセス可能である必要があります(例えば、カスタムグループやリモートオフィス単位で配布する場合、カスタムグループやリモートオフィスに所属するすべてのエージェントからリポジトリにアクセス可能である必要があります)。
共有フォルダーにソフトウェアリポジトリを設定すると、ソフトウェアを配布する際にインストーラー等のファイルを共有フォルダーからコピーして配布します。そのため、ソフトウェアリポジトリを設定することで、インターネット側の帯域幅消費を抑えることができ、またダウンロードにかかる時間を短縮できる可能性があります。 - スクリプトリポジトリの設定(任意)
ソフトウェアのインストール前後にスクリプトを実行することが可能です。一緒に配布するスクリプトを容易で来たら、「ソフトウェア配布」タブ →「設定」→「スクリプトリポジトリ」をクリックしてスクリプトをスクリプトリポジトリに登録します。
- 自動更新テンプレートの設定(任意/パッケージの自動更新を使用する場合は必須)
Endpoint Central Cloudでは、既定のソフトウェアパッケージや手動作成したパッケージの一部に対して、ベンダーから新しいバージョンがリリースされた際に、パッケージに含まれるインストーラーを自動的に最新版に置き換える機能があります。自動更新ポリシーを作成し、パッケージにポリシーを割り当てることで、各パッケージの自動更新を設定します(ソフトウェアパッケージの作成後に設定します)。- Endpoint Central Cloudコンソール画面にアクセスし「ソフトウェア配布」タブ →「設定」→「自動更新テンプレート」を開きます。
- 「ポリシー」をクリックし、[+ ポリシーの作成]をクリックします。
- ポリシーの内容を入力します。
- ポリシー名: 任意の名前を入力します。
- セルフサービスポータルで公開された場合パッケージを更新: 有効化すると、パッケージをセルフサービスポータルで公開している場合、新しいバージョンのインストーラーが利用可能になったら、その新しいインストーラーを使用したパッケージも自動的にセルフサービスポータルに公開します。
- ユーザー定義のテンプレートのパッケージを更新: 有効化すると、既定のソフトウェアパッケージ以外のユーザー作成パッケージについても、新しいバージョンがリリースされたら自動的にパッケージを作成します。
- パッケージの更新後、データを保持する:新しいバージョンで自動作成されたパッケージにも配布前後のアクション、パッケージの説明(セルフサービスポータルの場合のみ)を引き継ぎます。
- [保存] をクリックします。
- ポリシー名の左側をクリックし、デフォルトポリシーを指定します。
- 続いて「ソフトウェア」をクリックし、自動更新ポリシーとソフトウェアを関連付けます。
- セルフサービスポータル設定(任意)
セルフサービスポータルを初めて利用する場合は、「ソフトウェア配布」タブ →「設定」→「セルフサービスポータル設定」から設定します(「管理」タブ →「グローバル設定」→「セルフサービスポータル設定」からも設定可能です)。詳細はこちらをご覧ください。
2. パッケージの作成
Endpoint Central Cloud を用いてソフトウェア配布を行う場合、ソフトウェアは「パッケージ」として配布されます。
パッケージを作成するには、配布するソフトウェアに応じて(A) デフォルトのテンプレートから選択するか、もしくは(B) 実行ファイルをアップロードしてパッケージを手動で作成する必要があります。
Windowsの場合
ソフトウェアパッケージは実行ファイルとプロパティから構成されます。
- exe形式の場合、実行ファイルとインストールコマンドが必要です。サイレントインストールを実行するには、各ベンダーが定めた「サイレントスイッチ(サイレント引数)」が必要です。サイレントインストールに非対応の実行ファイルの場合は、エンドユーザーによる操作が必要になります(または、別途スクリプトを作成してパッケージに組み込みます)。
(サイレントスイッチの例)VSCodeSetup-x64-1.73.0.exe /VERYSILENT /NORESTART /MERGETASKS=!runcode
→アプリケーションのポップアップ等が表示されずにインストールされます(基本的に、アプリケーション側でサイレントインストールに対応している必要があります)。
(サイレントインストール非対応アプリケーションの例)setup.exe
→ 対話型インストーラーが起動します。Endpoint Central Cloudがアプリケーションを実行するため、操作するユーザーが管理者権限を持っていない場合でも、管理者権限で実行が可能です。
- msi形式の場合、msiファイルのみで実行可能です。必要に応じてmstファイルやプロパティを追加します(アプリケーションによっては、msiファイルにプロパティを追加する必要があります)。
- その他の形式の場合はこちらの例をご覧ください。
テンプレートに用意されているソフトウェアは、コマンドなどを意識せず、テンプレートを選択するだけでパッケージを簡単に作成できます。詳細は以下の手順をご覧ください。
なお、パッチ管理機能で対応しているアプリケーションの場合、パッチ管理機能を使用して新しいバージョンを配布/セルフサービスポータルに公開することもできます(プロパティやインストールコマンドを編集することはできません)。また、パッチ管理機能/ソフトウェア配布機能のいずれでも対応していない場合、カスタムスクリプト機能を使用して配布可能な場合があります。
Windows向けソフトウェアパッケージを作成する手順は以下の通りです。
- 「ソフトウェア配布」タブ →「パッケージ作成」→「パッケージ」を開きます。
- [+ パッケージを追加する]をクリックし、「Windows」を選択します。
- 「パッケージ名」にソフトウェアの名前を入力すると、テンプレートが利用可能なソフトウェアは選択可能になります。
選択可能な場合 → (A) デフォルトのテンプレートから選択する
選択できない場合 → (B) 実行ファイルをアップロードしてパッケージを手動で作成する
- (A) デフォルトのテンプレートから選択する
- (B) 実行ファイルをアップロードしてパッケージを手動で作成する
- パッケージ名を入力します。
- パッケージの種類を選択します。
- MSI / MSP形式の場合 → 「MSI / MSP」を選択
- その他の形式の場合 → 「EXE/APPX/MSIEXEC/MSU」を選択
- ライセンスの種類を「商用」/「非商用」から選択します。
- 実行ファイルの配置場所を選択します。
- ネットワーク共有フォルダーをソフトウェアリポジトリに設定し、ファイルを配置している場合 → 「共有フォルダから」を選択
- 実行ファイルをクラウドにアップロードする場合 → 「ローカルコンピューターから」を選択
.z/.zip/.gzip/.bzip2/.tar形式の場合、圧縮したままアップロードが可能です。アップロード後、自動的に展開されて配布されます。
アップロードが中断された場合、カーソルをファイル名に合わせると表示される青い矢印をクリックして再アップロードします。 - インストール/アンインストールの詳細を入力します。インストールを実行するためには、最低限「MSI/MSPファイル名」または「スイッチ引数付きのインストールコマンド」を指定する必要があります。アンインストールの実行やバージョン情報などを指定するには、「アンインストール」「詳細設定」についても入力する必要があります。
- MSI/MSP形式の場合、以下を指定します。
- インストール→「MSI/MSPファイル名」、「MSTファイル名」、「プロパティ」
- アンインストール→「アンインストール用のMSI/MSPプロパティ」
- 詳細設定→アーキテクチャ(32bit/64bit)、インストールのタイムアウト時間(2~最大6時間)、アプリケーション名、バージョン、ベンダー、言語、その他の任意の情報(250字まで)
- その他の形式の場合、以下を指定します。
- インストール→インストールコマンド
- アンインストール→アンインストールコマンド
- 詳細設定→正常終了時の終了コード、アーキテクチャ(32bit/64bit)、インストールのタイムアウト時間(2~最大6時間)、アプリケーション名、バージョン、ベンダー、言語、その他の任意の情報(250字まで)
- MSI/MSP形式の場合、以下を指定します。
- 必要に応じて、配布前のアクション(インストール開始前に実行する、レジストリ変更やスクリプト実行、ディスク空き容量確認などのアクション)を指定します。
実行したい項目をドラッグ&ドロップし、選択した項目名をクリックすると詳細を編集できます。 - 必要に応じて、配布後のアクション(インストール完了後に実行する、ファイルの変更やショートカットの作成、スクリプト実行などのアクション)を指定します。
以下の動画(英語)も併せてご覧ください。
- [パッケージを追加する]をクリックしてしばらく待ちます。
- パッケージの作成後、パッケージを表示します。作成完了画面で「パッケージを表示」をクリックするか、ソフトウェア展開タブ > パッケージの作成 > パッケージ ページにて作成したパッケージを確認可能です。
Macの場合
ソフトウェアパッケージはMacパッケージファイルとコマンドから構成されます。
「詳細オプション」→「インストールコマンド」から指定することもできます。
テンプレートに用意されているソフトウェアは、コマンドなどを意識せず、テンプレートを選択するだけでパッケージを簡単に作成できます。詳細は以下の手順をご覧ください。
- Xcodeの配布方法(準備中)
なお、パッチ管理機能で対応しているアプリケーションの場合、パッチ管理機能を使用して新しいバージョンを配布/セルフサービスポータルに公開することもできます(プロパティやインストールコマンドを編集することはできません)。また、パッチ管理機能/ソフトウェア配布機能のいずれでも対応していない場合、カスタムスクリプト機能を使用して配布可能な場合があります。
Mac向けソフトウェアパッケージを作成する手順は以下の通りです。
- 「ソフトウェア配布」タブ →「パッケージ作成」→「パッケージ」を開きます。
- [+ パッケージを追加する]をクリックし、「Mac」を選択します。
- 「パッケージ名」にソフトウェアの名前を入力すると、テンプレートが利用可能なソフトウェアは選択可能になります。
選択可能な場合 → (A) デフォルトのテンプレートから選択する
選択できない場合 → (B) 実行ファイルをアップロードしてパッケージを手動で作成する - (A) デフォルトのテンプレートから選択する
- (B) 実行ファイルをアップロードしてパッケージを手動で作成する
- パッケージ名を入力します。
- ライセンスの種類を「商用」/「非商用」から選択します。
- ファイルをアップロードします。
.zip/.tar/.targz/.bz2/.tgz 形式の場合、圧縮したままアップロードが可能です。アップロード後、自動的に展開されて配布されます。
アップロードが中断された場合、カーソルをファイル名に合わせると表示される青い矢印をクリックして再アップロードします。 - インストール/アンインストールの詳細を入力します。必要に応じてインストールの詳細オプションやアンインストール時の詳細オプション、パッケージプロパティについても入力します。
- インストール→インストールコマンド
- アンインストール→削除が必要なアプリケーションのパス、アンインストール時のスクリプト、アンインストールコマンド
- パッケージプロパティ→ベンダー、バージョン、言語、その他の任意の情報(250字まで)
- [パッケージを追加する]をクリックします。
- パッケージの作成後、パッケージを表示します。作成完了画面で「パッケージを表示」をクリックするか、ソフトウェア展開タブ > パッケージの作成 > パッケージ ページにて作成したパッケージを確認可能です。
Ubuntu/Debianの場合
Ubuntu/Debianの既成のパッケージを配布可能です(パッケージを新規に作成することはできません)。
その他のLinuxの場合(カスタムスクリプト機能)
Ubuntu/Debian以外のLinuxディストリビューションや、Ubuntu/Debianの既定のパッケージ以外の場合、カスタムスクリプト機能を使用することで、対応可能な場合があります。
3. ソフトウェアの配布(またはセルフサービスポータルでの公開)
- ソフトウェア配布タブ > 配布 > ソフトウェアのインストール/アンインストール から、インストール対象の種類を選択します。
- パッケージ設定では先ほど作成したパッケージを選択し、操作の種類が「インストール」であることを確認します。
- 配布設定にて配布ポリシーを選択します。
- 配布/適用対象の設定にて、配布対象を選択します。その他、適宜設定します。
- 「配布」または「今すぐ配布」を選択します。
対応するソフトウェア実行ファイルの形式
- .exeファイル
- 実行ファイルへの完全なパスと、アプリケーション固有のサイレントスイッチを指定します。
(例) \\share\IE8\IE8-WindowsServer2003-x86-ENU.exe /quiet /passive /update-no /norestart
- .msiファイル
- 実行ファイルへの完全なパスを入力します(サイレントスイッチを指定する必要はありません)。
(例) \\share\skype\skype.msi
- .mspファイル(Windowsインストーラーパッチファイル)
- mspファイルが引数として指定するmixexecファイルへのパスと、mspファイルのパス、サイレントスイッチを指定します。
(例) %windir%\system32\msiexec.exe /update "\\share\xyz.msp" /qn
- .issファイル(応答ファイル)
- InstallShieldを使用して作成されたexeファイルは、issファイル(応答ファイル)を作成することでサイレントインストールが可能になります。
(例) \\share-server\Software\winvnc\Setup.exe /s /f1 "\\share-server\software\Winvnc\silentinstall.iss"
- コマンドプロンプトを開き、ソフトウェア実行ファイル(例:setup.exe)のあるフォルダーに移動します。
- rオプションおよびf1"<filename>"オプションをつけてsetup.exeを実行します(/f1とダブルクォーテーションの間にスペースは入れません)。インストールファイル名には任意のファイル名を指定します。続けて、そのソフトウェアに必要な操作を実行し、インストールを完了させます。
setup.exe /r /f1"<インストールファイル名>"
- インストールが完了したら、ソフトウェア実行ファイルのあるフォルダーに.issファイル(応答ファイル)が作成されていることを確認します。
- .cmdや.batなどのバッチファイル
- 実行ファイルへの完全なパスを入力します。
(例) \\share\scripts\installitunes.bat
- .vbs/.vb/.js/.jse/.vbe/.vbs/.wsf/.wsc/.wsh(VbScriptスクリプト)
- スクリプトを引数として、vbscriptエンジンへのパスを指定します。
(例) %windir%\system32\cscript.exe "checkIE8Installed.vbs"
- Windowsのパッチファイル
- Windows Update スタンドアロンインストーラー(%windir%\System32\wusa.exe)と、引数として.msuファイル、サイレントインストールに必要な引数を指定します。
- Windows の Windows Update スタンドアロン インストーラーについて(Microsoft、日本語版)
- Description of the Windows Update Standalone Installer in Windows(Microsoft、英語版:Windows 10に対する記載があります)
(例) wusa.exe "\\server\share\Windows6.0-KB934307-x86.msu" /quiet /norestart
- .dll/.ocxファイル
- regsvr32.exeと、.dllおよび.ocxファイルを指定します。
(例) regsvr32 /u /s msbind.dll
(例) regsvr32 /u /s mswinsck.ocx - .au3(AutoItスクリプト)
- .au3は、AutoIt3を使用して作成したスクリプトです。AutoIt実行ファイルと、引数として作成したスクリプトを指定します。AutoItを使用したソフトウェアインストール自動化については、下記のポイントをご覧ください。
(例) AutoIt3A.exe ""
InstallShieldを使用して作成されたexeファイルは、.issファイル(応答ファイル)を作成することでサイレントインストールが可能です。1台のコンピューターで手順を応答ファイルに記録します。
AutoItは、Windowsの操作自動化ツールです(AutoIt公式ページ)。
Endpoint Central Cloud はサイレントインストールに対応したソフトウェアの配布が可能ですが、サイレントインストールに非対応のソフトウェアの配布の場合は、AutoItスクリプトを使用してインストール可能な場合があります。