小売業のDXを促進するには？課題とITSMツールでの解決策を紹介

ICT分野の急激な変化によって、世界中でデジタル・ディスラプションと呼ばれるイノベーションが巻き起こりました。しかしデジタル面で遅れをとっていた小売業にはなかなか波及しませんでしたが、それはひと昔前の話。ガートナー社の調査では、2022年までに世界中の小売業のIT投資額は 2250億ドルに達すると予測しています。小売市場にeコマース大手が進出したことで、実店舗を持つ企業はITインフラの規模を拡大しています。デジタル関連に多額の投資を行い、AIや機械学習など新しいテクノロジーでパーソナライズされた顧客サービスを提供しています。

このデジタル・トランスフォーメーションの中枢が小売業のIT部門です。消費者がサービスを24時間いつでも利用できるようにすることがその使命。小売業のオペレーションを網羅できる ITSMツールがなければ、小売企業はITインフラの管理でかなり苦労することになってしまいます。

小売業が直面する課題は次の通りです。

大きな影響を及ぼす
インシデントへの対策

小売業ではサーバー、POS端末などのIT資産で複雑なネットワークを運用しています。POS端末やeコマースサイトがダウンするような事故が発生すると、小売企業は分単位で損失を被ることになります。サーバーには消費者情報が大量に保存されており、仮に情報漏洩などの問題が発生すると億単位の損害や罰則を受ける恐れがあります。POS端末やインターネットを利用した取引は、オンラインと実店舗の両方で主流になっており、積極的なインシデント管理戦略がなければ小売業は停止してしまいます。

多数のIT資産の管理

グローバルに店舗を展開する小売業では、様々なIT資産を利用しています。バーコードを読み取るスマートフォンやタブレットなどの携帯端末、支払い処理を行うPOS端末、ネットワーク運用のためのルーターやモデムなど。IT部門はこれらIT資産のパフォーマンスを確保すると同時に、リスク・コスト・予算・購入の見込みも管理しなければなりません。ITAM戦略がない場合、購入から廃棄までライフサイクル全体にわたった資産の追跡が困難になります。その結果、資産の利用率が低下し、メンテナンス費用も増加。法的リスクやセキュリティリスクが生じる恐れがあります。

各フランチャイズにおける
ITプロジェクトの統括

大規模な小売業ではeコマースサイトに加え、大陸をまたいだ多数の実店舗を運営しています。コラボレーションやコミュニケーションが不足すると、本部が把握していないITプロジェクトが発生する恐れがあります。効果的なITSMソリューションがあれば、大規模な小売業でも本部・支社の依存関係を見失うことなく、ITプロジェクトの変更と実行を行い、統一されたITインフラを統括しやすくなります。

効果的な
エンタープライズサービスの提供

小売業はIT以外のエンタープライズサービスも利用しています。例えば設備、給与計算、人事、財務など。これらの部門が倉庫管理、在庫の補充、従業員の組織化など小売業の運営を円滑にしています。しかし小売業の多くはこれらの管理に異なるツールやチャネルを使用しており、その結果、コストの増加やサービス提供のためのチーム編成が難しくなっています。

新型コロナウイルスによる影響

新型コロナウイルスの大流行が直接的な影響を及ぼしているのが小売業です。店舗でソーシャルディスタンスを確保しにくい場合はデジタル取引を増やすことになりますが、課題は山積しています。スーパーマーケットチェーンなどの大手小売業は非接触型取引を拡大させています。ファーストフードチェーンは非接触型配送を採用し、eコマース企業はメールでの注文確認に移行しています。このように小売サービスのデジタル化に軸足を置いた結果、遠隔地のIT運用の高可用性を確保しなければならず、IT部門の負担が増加しています。

顧客優先のサービスを提供するうえで、小売業におけるテクノロジーは重要な差別化要因になっています。しかし小売業のオペレーションは複雑なため、ITサービスデスクはインシデントの解決、資産管理、変更の実施、ITプロジェクトの追跡など、複数の局面に対応しなければなりません。

ITSMにおける人・プロセス・テクノロジーの融合は、競争力を高めようとする企業にとって非常に重要です。旧式のアプリケーションでITを管理しているようでは、競合他社に勝つことはできません。堅牢で拡張性があり、ITSMのベストプラクティスに沿ったITSMツールの採用をお勧めします。